以後、様々にいろとかたちを変えながら《portrait》が展開していくことになる。このような中で、個展「Utopia MoMo-Iro 7」をsalon cojicaで開催した。展示のために床と壁を貼り替え、《portrait》シリーズを中心とした展覧会を行うことにした。この際に書いたテキストは以下の通りである。
彼が、近年特に意欲的に取り組んできた平面作品は、「portrait」とのタイトルが付けられていました。
「portrait」それぞれに番号が単純に振られているものの、タイトル自体に個性は与えられてきませんでした。そんな「portrait」は、彼の研鑽の記録といっても良いでしょう。
彼は、160を超える「portrait」の創作と研鑽から、ユートピア(Utopia)を探し続けているのかもしれません。

portrait158
木製パネル、和紙、アクリル絵の具、ウレタンニス、印刷物、金箔、ラメ(h)130.3×(w)130.3×(d)3cm
2012
この頃の《portrait》シリーズは常に実験的であり、その時々の興味によって、いつも違う画面作りがされていった。「Utopia MoMo-Iro 7」のメイン作品として出展された《portrait158》では、金箔、ドット、山、ピンクといったこれまでの武田作品に特徴的な要素はありながらも、全体的に画面が汚される処理がなされているなど、不穏な画面作りがされている。時期は前後するが、2012年の夏、初めて参加したART OSAKAの搬入の際に武田とビックリマンシールの話をした記憶が残っている。金箔、ラメ、蛍光色、光沢のある表面、背景作りの方法などには共通するところがあるのではないかと考えている。

参考)ビックリマンシール画像
4 神殿(2009 -2014)
《portrait》と並行して作られていたシリーズとして、《神殿》のシリーズがある。横長の立体のシリーズと、不安定に箱のようなものが積み重ねられた《神殿 -tree-》のシリーズが存在している。横長のシリーズは武田の実家の平屋の形がモチーフになっており、木材や、エポキシ樹脂、ミラーボールの鏡など、その時々の「素材」への興味がダイレクトに表れるシリーズとなっている。内部には灯りが灯されることが多く、家を思わせる作品となっている。箱が積み重ねられた《神殿 -tree-》のシリーズにおいては、コードの処理や、立体の組み合わせ方に工夫が凝らされ、その時々の「造形」への興味がダイレクトに表れるシリーズとなっている。《神殿》は、彼の平面作品を集積し立体に立ち上げたもののようにも思え、立体と平面とをつなぐ役割を担っているようにも思えていた。こ鹿(2010)では、《神殿#003》を展示し、Utopia MoMo-Iro 7(2012)では、《神殿-tree-#004》を展示した。


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フロラン・ボンゾン個展「hoshi・クテ」

眺望ギャラリー テラス計画では、2025年5月19日(月)から6月2日(月)まで、国際的なアーティスト・イン・レジデンス拠点である「さっぽろ天神山アートスタジオ」にて滞在制作中のアーティスト、フロラン・ボンゾンの個展「 hoshi ・ クテ」を開催します。
フロランさんは約10年前から日本語を学び続けており、今回が待望の初来日となります。スイス北西部の都市バーゼルを拠点に、アートスペースの運営や展覧会の企画も手がけるなど、アーティストとして多彩に活動しています。
スイスでは近年、若いアーティストたちによる自主的なアートプロジェクトの企画・運営が盛んになっており、札幌もまた、アーティスト・ラン・スペースが多く存在する街です。テラス計画もその一つとして、こうしたアーティスト同士の交流の機会を増やすことを目指しています。
また、5月31日(土)には、バーゼルで活動する方々とオンラインでつなぎ、スイス/バーゼルのアートシーンを紹介するトークイベントを開催します。札幌とスイスをつなぐ、この特別な機会をぜひお見逃しなく。
会期|2025年5月19日(月)〜6月2日(月)11:00〜19:00
※イベント利用により関係者のみの入場となる場合がございます。
ご来場の前に会場HPのイベントカレンダーをご確認ください。
会場|眺望ギャラリー「テラス計画」(札幌市中央区北2条西4丁目 赤れんが テラス5階)
展示作家|Florent Bonzon / フロラン・ボンゾン(スイス)
主催|さっぽろ天神山アートスタジオ/一般社団法人AISプランニング
共催|札幌駅前通まちづくり株式会社
協力|⼀般社団法⼈PROJECTA
⚫︎トークイベント「スイス/バーゼルと札幌のアーティストの生活とアートシーン」
スピーカー|
・Florent Bonzon / フロラン・ボンゾン(展示アーティスト)
・Victoire Poinsot-Girma(スイスからオンライン参加)
・Yaelle Valenzuela(スイスからオンライン参加)
・今村育子(美術家/札幌駅前通まちづくり株式会社)
・高橋喜代史(美術家/一般社団法人PROJECTA ディレクター)
モデレーター|小田井真美(さっぽろ天神山アートスタジオ AIRディレクター)
会期|2025年5月31日(土)16:00〜18:00
会場|眺望ギャラリー テラス計画
定員|約20名(申込不要、先着順)
料金|無料